浦和地方裁判所 昭和54年(ワ)368号 判決
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【判旨】
そこで、原告主張の請負契約の成否について検討する。原告は、昭和四八年三月五日ころ被告日本フィールドから昭和四八年度実行表という名の発注書(甲第二号証)の交付を受けることにより同社との間に本件請負契約が成立した旨主張するが、<証拠>をあわせると、原告が本件請負契約の発注書であると主張する右書面中「(株)三和電波」「昭和四八年度実行表」「宇田川」なる印影ならびに赤インクおよび赤鉛筆による各記載部分を除くその余の部分は、昭和四八年三月下旬ころ、当時被告日本フィールドの技術第三部の係長であつた有我陽一が、被告日本フィールドの幹部に対し同社のテレビ対策要員を求める目的で作成した書面のコピーないしコピーのコピーであり、有我作成の書面には原告が本件請負契約の発注書であると主張する前記昭和四八年度実行表なる書面にある「(株)三和電波」、「昭和四八年度実行表」の各記載、「宇田川」なる印影ならびに赤インクおよび赤鉛筆による各記載部分はなかつたこと、右「宇田川」なる印影は被告東京電力ないし同日本フィールド関係者の印鑑により顕出されたものではないこと、有我作成の右書面のコピーは、そのころ、被告日本フィールドの幹部により開催されたテレビ対策のための打合せ会の際、同人らに配布されたのが、右会議の席上、当時の被告日本フィールド専務取締役熊谷清からその記載内容の不正確さを指摘されたため、社内文書としても採用されるに至らなかつたものであること、原告は、右有我作成の書面ないしそのコピーを何らかの機会に入手し、これを川口信用金庫から融資を求めるについて自己の信用を得るための材料に用いたが、その過程において、右有我作成の書面になかつた前記の部分が付加されたこと、さらに前記甲第二号証の件名には河北線の新設等八線の新設等が記載されているが、実際に昭和四八年度に被告日本フィールドが同東京電力から受注した工事は東京西線、新筑波佐原線、新袖ヶ浦線の三線のみであつたこと、また、昭和四八年当時、被告日本フィールドから原告に対するテレビ電波障害対策工事の発注は、被告日本フィールドが右対策工事を要する軒数を調査したのち、右工事必要分のアンテナ対策カードを一週間ないし二週間ごとに原告に交付するという方法により行われ、これによりはじめて右両者間において、個別対策契約が成立するものとされていたことなどの事実が認められ、以上の事実に照らすと原告主張の前記の書面を本件請負契約の発注書であるとみることはできない。右認定に反する原告代表者の尋問結果はあいまいで相互に矛盾する点が多くにわかに信用することができず、他に前記原告主張の本件請負契約成立の事実を認めるに足りる証拠はない。
(小笠原昭夫 野崎惟子 樋口裕晃)